革新の新体制!特定看護師が変える医療現場の未来

文献紹介

心臓血管外科における特定行為研修修了看護師の導入と体制構築


みなさん、こんにちは!😊 r-youngです!

先日は外科系学会で発表でした🎤

評判もそこそこ良く、優秀演題賞も頂きました🏆

今回は、その学会で発表した内容をブログ記事にしてみました!

タイトルは

「心臓血管外科の専従の特定行為研修修了看護師の導入と、その体制構築」

です‼️

現場では、患者さんに最良のケアを提供するために、医師と看護師が密に連携しています。

しかし、医師の負担が大きくなりがちな心臓血管外科では、医師の負担を軽減しつつ、高品質な医療を提供する方法を模索しています。そこで登場するのが特定行為研修を修了した看護師です🎉

特定行為研修修了看護師(以下、特定看護師)は、高度な医療知識と技術を持ち、医師の指示の下で特定の医療行為を行うことができます。

このような特定看護師が増えることで、医師と看護師がより効率的に協力し、患者さんに最適なケアを提供できるようになります。

当院でも、心臓血管外科専従の特定看護師を導入し、その活動を支える体制を整えてきました。

※ココで大事なのは今回の発表は特定行為を活用したタスクシフト/シェアという点に焦点を当ててます。私の本業であるNPとしての活動は、全く異なる価値や役割があると思ってますので、その点は承知の上で記事を読んでくださいね😉

この記事では、私の取り組みや実際の活動について詳しく紹介します。ぜひ、最後までお付き合いくださいね!🌟


特定行為の位置付け

心臓血管外科でのケアをより効果的にするためには、医療行為の分類をしっかり理解することが重要です。ここでは、医療行為の分類と特定行為の位置付けについて説明します。

医療行為の分類

まず、医療行為は大きく2つに分けられます:

  1. 絶対的医行為 🩺
    • 医師だけが行える医療行為
    • 例: 診断、検査の指示および結果の判断、処方、手術の執刀
  2. 相対的医行為 🏥
    • 医師の指示の下で看護師も行える医療行為
    • 例: 注射・採血・静脈路確保、挿管・抜管

特定行為とは?

特定行為は、相対的医行為の中でも特に高度な技術を必要とする行為であり、特定の研修を修了した看護師が行うことができます。具体的には、21区分38行為あり、以下のような行為が含まれます:

  • 人工呼吸器の調節
  • カテコラミン調節
  • 輸液量の調節
  • 鎮静剤の調節
  • ドレーン抜去

これらの行為は、医師の負担を軽減し、看護師がより高度なケアを提供するために重要な役割を果たします。特定行為を行うことで、看護師は患者さんの状態に迅速かつ的確に対応できるようになります。💪

次のセクションでは、特定行為研修の現状と課題について詳しく見ていきます。なぜ特定行為研修が普及していないのか、その理由を探ってみましょう。お楽しみに!😊


特定行為研修の現状と課題

特定行為研修は、看護師が高度な医療行為を行うための重要な研修ですが、普及が進んでいるとは言えない状況です。ここでは、その現状と課題について詳しく見ていきましょう。

特定行為研修の概要

特定行為研修は厚生労働省が定めた制度で、看護師が特定の医療行為を行うために必要な知識と技術を学びます。この研修を修了することで、看護師は特定行為を実施する資格を得ます。しかし、特定行為研修が開始されてから10年以上が経過した現在でも、普及率は高くありません。🧐

なぜ特定看護師は普及しないのか?

特定行為研修が普及していない理由は主に以下の3つです:

  1. 看護師制度の複雑さ 🤯
    • 日本の看護師制度は多岐にわたり、認定看護師や専門看護師、私のような診療看護師など、さまざまな看護師認定制度があります。特定行為に関わる制度も非常に複雑です。
    • 例えば、特定行為は21区分38行為に分かれておりますが、1行為のみ修了した看護師もいれば38行為すべて修了している看護師もいるわけです。この2人は同じ特定看護師ですが役割は大幅に異なるでしょう。
    • さらに大学院教育を経た高度実践看護師(専門看護師、診療看護師、周麻酔看護師など)と特定看護師との違いが理解しづらい点も課題です。
  2. 特定看護師の多様性 🌟
    • 特定看護師の活動形態が多様であり、組織によって異なるため、標準化が難しいという問題があります。活動の仕方には数種類の「型」があります。
    • チーム所属型:診療科や病棟Nsから依頼を受けて活動、特定の問題にFOCUSした活動
    • 例)褥瘡・術後疼痛管理・感染チーム
    • 部署固定配置型特定の期間のせん妄・ドレーン・呼吸循環管理、デバイス手技・管理
    • 例)病棟・ICU・ER・手術室
    • 診療科専従型外来〜退院まで組織横断的に一貫した患者ケア・マネジメント
    • 例)診療看護師(NP)
  3. 制度の理解不足 🤔
    • 他職種や看護師自身が特定行為研修や特定看護師の役割を十分に理解していない場合が多いです。これにより、特定行為の実施が現場で浸透しづらくなっています。

特定行為研修が普及しない理由を解決するためには、制度の理解を深め、看護師が特定行為を行うための環境整備が必要です。

次のセクションでは、当院での取り組みについて詳しく紹介します。私たちがどのように特定看護師を導入し、その体制を構築したのかを見ていきましょう😊


当院での取り組み

当院では、心臓血管外科の現場で診療看護師(NP: Nurse Practitioner)を導入し、体制を整えることで医療の質を向上させています。

ここでは、その取り組みと成果について詳しく紹介します。

導入の経緯と目的

心臓血管外科の手術は複雑で長時間に及ぶことが多く、手術中や術後のケアで医師の負担が大きい状況でした💦

この課題を解決するために、当院では診療看護師を導入することを決定しました。

NPが医師の補助を行うことで、医師の負担を軽減し、患者さんにより迅速で適切なケアを提供することが目的です。🎯

診療看護師(NP)の紹介

当院で導入した診療看護師(NP)は、以下の要件を満たしています

  • 5年以上の看護師経験 🏥
  • 大学院修士課程での医学教育を修了(特定行為研修を含む)
  • NP資格認定試験に合格

私自身、16年間の看護師経験を持ち、そのうち10年以上は手術室で心臓血管外科の手術を担当してきました。NP取得後はICUで勤務し、現在は心臓血管外科専従のNPとして活動しています。

業務内容の調整

特定看護師の導入に際して、まず外科のニーズを把握し、業務内容を調整しました。心臓血管外科では、手術中や術後の管理が重要であるため、NPは主にICU・病棟管理業務を担当しています。

また、特定看護師が固定配置されるのではなく、診療科専従型で活動することで、手術室勤務の経験を活かしつつ、より柔軟に対応できるようにしました。

活動日についても、限定された日数で活動するのではなく、フルコミットすることで、日々の変化に対応できる体制を整えました。

次のセクションでは、医療安全とマニュアル作成について詳しく紹介します。特定看護師の業務範囲を明確にし、安全に活動するための取り組みを見ていきましょう!😊


医療安全とマニュアル作成

特定行為研修修了看護師の活動を安全かつ効果的に行うためには、明確な業務範囲と医療安全の確保が不可欠です。当院では、以下の取り組みを通じてこれを実現しています。

マニュアル作成の重要性

医療現場での不確実性を減らし、安全な医療提供を行うために、NPの業務範囲を明確に定めたマニュアルを作成しました。これにより、NPの活動が統一され、同じ基準で業務を遂行できるようになっています。

マニュアルのポイント
  • 診療プロセスの明確化 📋
    • NPが行う全ての医療行為は、医師の指示の下で行われることを明記
  • 業務範囲の具体化 📝
    • 特定行為、診療の補助、代行入力の範囲を詳細に記載
  • 禁忌事項の設定 🚫
    • NPが行ってはならない行為を明確に規定

医療安全の確保

NPが安全に業務を行うためには、医療安全の確保が欠かせません。当院では、以下の体制を整えています

  • 医療安全委員会での承認
    • NPの活動内容とマニュアルは、医療安全委員会で承認を受けています
  • 定期的な活動報告 📊
    • NPの活動状況を定期的に報告し、問題点や改善点を共有
  • インシデント・アクシデント報告 🚨
    • 万が一のインシデントやアクシデントが発生した場合は、速やかに報告し対策を講じる

これらの取り組みにより、NPは安全に業務を遂行でき、医療現場での信頼性も向上しています。

次のセクションでは、関係部署からの理解について詳しく紹介します。多職種からの理解と協力を得るための取り組みについてお話ししますので、お楽しみに!😊


関係部署からの理解

特定行為研修修了看護師が効果的に活動するためには、関係部署からの理解と協力が不可欠です。

ここでは、多職種間の連携を強化するための当院の取り組みについて紹介します。

NPとは何か?

まず、NPの役割を理解してもらうために、関係部署のスタッフに対して説明会や勉強会を開催しました。

これにより、NPの役割や業務範囲について正確な情報を共有し、疑問や誤解を解消しました。

よくある質問と対応

  1. 「NPって何?」 🤔
    • NPは、特定の研修を修了し、医師の指示の下で高度な医療行為を行う看護師です。
  2. 「なぜ通常の看護業務をしないの?」 🏥
    • NPは、医師の補助として特定の医療行為を行うため、通常の看護業務とは異なる役割を担っています。
  3. 「NPが勝手に指示を出している?」 🧐
    • NPは全ての行為を医師の指示の下で行っており、独断で行動することはありません。

他職種からの理解と協力

他職種からの理解を得るために、以下のような取り組みを行いました:

  1. 説明会の開催 🗣️
    • NPの役割や業務範囲についての説明会を定期的に開催し、他職種スタッフの理解を深めました。
  2. 実際の活動を通じた理解促進 💡
    • NPが実際に活動する姿を見てもらうことで、その重要性と効果を実感してもらいました。

問題点と対策

NPの導入初期には、他職種スタッフからの疑問や不安が寄せられることもありました。しかし、以下の対策を通じて、徐々に理解と協力を得ることができました:

  1. 丁寧な説明とコミュニケーション 🗨️
    • NPの業務内容や役割について、丁寧に説明し、疑問や不安に対して真摯に対応しました。
  2. 実臨床での効果を示す 💪
    • NPの活動が患者さんのケアにどのように貢献しているかを具体的に示すことで、他職種からの信頼を得ました。

次のセクションでは、特定行為研修修了看護師の活動実績について紹介します。具体的な実績とその成果について見ていきましょう🎵


活動実績

特定行為研修修了看護師(NP)は、当院の心臓血管外科において多くの活動を行い、医療の質向上に貢献しています。

ここでは、2022年11月から2023年12月までの活動実績について紹介します📝

特定行為の実績

NPは、多岐にわたる特定行為を実施しています。以下はその具体的な実績です:

  • 人工呼吸器調節: 137件
  • 鎮静剤調節: 83件
  • 気管カニューレ交換: 20件
  • ドレーン抜去: 105件
  • CV抜去: 40件
  • PMリード抜去: 31件
  • Aライン挿入: 22件
  • 動脈採血: 14件
  • 輸液量調節: 90件
  • 降圧薬調節: 88件
  • カテコラミン調節: 71件
  • 利尿薬調節: 16件
  • IABP操作: 3件
  • CHDF操作: 3件
  • PCPS操作: 1件
  • NPWT(ネガティブプレッシャー治療): 16件
  • デブリ(壊死組織の除去): 3件

合計830件の特定行為を行い、心臓血管外科の患者さんへの迅速かつ適切な対応が可能となりました。診療科専従型NPは手術室、ICU、病棟、救急外来と、場所や時間を問わず介入することができるため、患者さんに対する一貫したケアが提供できます。

特定行為以外の診療の補助

特定行為に加えて、以下のような相対的医行為も行っています:

  • 手術助手: 73件
  • 抜糸: 64件
  • Aライン抜去: 46件
  • 抜管: 32件
  • CV挿入: 21件
  • 血液培養: 20件
  • 器械出し: 8件
  • 胃管挿入: 9件
  • Aシース抜去: 4件
  • リンパ液穿刺: 3件
  • 転院搬送: 1件

合計281件の相対的医行為を行い、医師が医師にしかできない仕事に集中できるようにしています。

これにより、診療の効率が向上し、医療チーム全体のパフォーマンスが向上しています。

代行入力業務

NPは医師に代わり、以下のような入力業務も担当しています:

  • 各種オーダー(画像、採血、細菌、病理、処方、輸血など): 1313件
  • 看護指示: 381件
  • 各種書類(指示書、申込書、計画書、同意書など): 190件

代行入力業務を通じて、医師の業務負担を軽減し、診療の効率化を図っています。

代行入力は、医師の指示通りに入力するものであり、入力者の意思や判断は含まれません。

↑この考え方は絶対的医行為を侵犯しないための、日本においては重要な解釈です

これにより、安全かつ正確な診療が行われています。

まとめ

心臓血管外科における特定行為研修修了看護師の導入と体制構築について、ここまで詳しく紹介してきました。特定看護師の活動により、当院では以下のような成果を上げることができました。

成果

  1. 医師の負担軽減 🏥
    • NPが高度な医療行為を担当することで、医師は診断や手術など、医師にしかできない業務に集中できるようになりました。
  2. 患者さんへの迅速な対応 🚑
    • NPが多岐にわたる特定行為を実施することで、患者さんに迅速かつ的確なケアを提供することができました。
  3. 医療チームの効率向上 📈
    • NPの導入により、診療の効率が向上し、医療チーム全体のパフォーマンスが向上しました。
  4. 多職種間の連携強化 🤝
    • NPの役割を理解してもらうための取り組みを通じて、多職種間の連携が強化されました。

今後の展望

特定行為研修修了看護師の導入は、心臓血管外科におけるタスクシフトの一環として非常に重要です。今後も以下の点に注力していきます:

  1. 制度の理解促進 🧠
    • NPの役割や特定行為についての理解を深めるために、引き続き説明会や勉強会を開催します。
  2. 業務範囲の拡大 🌐
    • NPの活動範囲を広げ、より多くの患者さんに対して質の高いケアを提供します。
  3. 医療安全の強化 🛡️
    • マニュアルの見直しや医療安全委員会での定期的な承認を通じて、安全な医療提供を維持します。
  4. 実臨床での効果の追求 🔬
    • NPの活動による具体的な効果を実臨床で示し、他の医療機関への導入支援を行います。

特定看護師の導入を通じて、心臓血管外科の医療の質をさらに向上させ、患者さんに最良のケアを提供していきます。ご質問やご意見がありましたら、ぜひお知らせください!🙇‍♂️

ではまた!👋



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