いつ抜管する?今でしょ! 術直後呼吸器管理

周術期管理

こんにちは!r-youngです😀

今日は術直後の呼吸器管理を中心に🫁

具体的な呼吸器設定や数値は症例によって様々ですし、主治医の治療方針も多種多様だと思いますので、毎症例主治医と相談しながらNPとして特定行為を活用して呼吸器管理を実践していくといいと思います‼️

呼吸管理は、心臓血管外科手術後の患者ケアにおいて極めて重要な要素です。人工呼吸器の管理目標として、以下のポイントが挙げられます。

それでは、行ってみようー🎵

呼吸管理のポイント

手術室での抜管を避ける理由

  • 循環動態の安定: 循環動態の急激な変化を抑え、緩徐に麻酔から覚醒させることで、術後の安定を図ります。
  • 急変への迅速な対応: ICU入室後も挿管状態を維持することで、術後数時間以内に起こり得る急変へ迅速に対応できる体制を確保します。
  • 酸素需給バランスの維持: 循環が不安定な場合、人工呼吸器を用いて酸素供給と二酸化炭素排出のバランスを保ちます。

人工呼吸器管理の継続理由

  • 重要なのは、呼吸不全のためではなく、術後の循環動態の安定と急変に対応するために人工呼吸器管理を継続している点です。

循環の安定化後の抜管

  • 循環が安定し、麻酔薬の効果がリバースされた場合は、速やかに抜管を行います。これは患者の回復状況に応じて個別に判断されます。

抜管のタイミング

  • 呼吸状態・循環動態が安定していれば、術後6時間以内に抜管できるケースが多いですが、万が一の再挿管の必要性に備えて必要なマンパワーを確保する観点から、夜間の抜管は避け、手術翌日(POD 1)の早朝に抜管をする戦略もあります。

注意点

  • 再挿管の準備: 抜管後に再挿管が必要になる可能性があるため、適切な人員と機器の準備が必要です。
  • 多職種との連携: 医師、看護師、呼吸療法士など多職種が連携し、患者の呼吸管理と循環動態の観察を行います。

術後の呼吸管理は、患者の安全を確保し、早期回復を促進するために必要な措置です。患者の状態を綿密にモニタリングし、必要に応じて迅速かつ適切な介入を行うことが、成功的な術後管理の鍵となります。

呼吸器の設定からweaning

心臓血管外科手術後の患者における呼吸器管理とweaning(離脱)プロセスは、患者の回復において重要な段階です。ここでは、人工呼吸器の設定とweaningプロセスの基本原則について解説します。

人工呼吸器の設定調整

  • PaO2の管理: 目標とするPaO2は90mmHg以上(P/F比:>200)を維持することです。これは主に吸入酸素濃度(FiO2)を調整することで達成します。
  • PaCO2の管理: PaCO2は35~45mmHgの範囲内に保つことが目標です。これは呼吸レート(R.R.)と1回換気量(T.V.)の調節により管理します。TVの上限は従圧式の呼吸器設定であれば、ピーク気道内圧(PIP)によって決定されます。

設定変更後のモニタリング

  • 設定を変更した後、約30分経過してから血液ガスを測定し、必要に応じてさらなる調整を行います。これにより、患者の呼吸状態と酸素化を適切に管理します。

Weaningの開始条件

  • 麻酔からの覚: 患者が麻酔から覚醒し始め、FiO2が0.5以下になっていること。
  • 血行動態の安定: 安定した血行動態と減少した出血量を確認すること。
  • 自発呼吸の出現: 患者が自発呼吸を開始していることがweaning開始の重要な指標です。

Weaningプロセス

  • 呼吸器モードの調整: weaning開始時には、同期間欠的強制換気(SIMV)モードに設定し、徐々に呼吸回数を減らしていきます。多くの患者は、麻酔からの覚醒とともに自力での呼吸が可能になるはずです。
  • Weaning中のモニタリング: 血液ガスの値だけでなく、呼吸数、呼吸パターン、循環状態への影響も密に監視します。これにより、患者のweaningプロセスの進行状況を評価し、必要に応じて介入を行います。

注意点

Weaningの過程では、患者の呼吸筋の疲労や循環動態への影響に注意を払い、患者が安全に人工呼吸器から離脱できるように支援します。患者個々の状況に応じて、weaningプロセスは柔軟に調整される必要があります。適切なタイミングでの抜管と、その後の密なモニタリングが、患者の回復と再挿管のリスク軽減に不可欠です。

麻酔からの覚醒

麻酔からの覚醒は、心臓血管外科手術を受けた患者にとって、重要な過渡期です。この時期における適切なケアとコミュニケーションは、患者の回復過程において極めて重要な役割を果たします。以下に、麻酔からの覚醒に関するポイントと、患者へのアプローチ方法について説明します。

麻酔からの覚醒のパターン

  • 個別差: 患者が麻酔から覚醒するパターンは、使用された薬剤の種類や個人の反応によって異なります。麻薬、鎮静薬、筋弛緩薬などの影響は患者ごとに異なり、一様に切れるわけではありません。
  • 患者の認識: 手術が終了したことや、挿管下で声が出ないことなどを患者がすぐに理解できるとは限りません。混乱や不安を感じる患者も少なくありません。

患者への説明とケア

  • 説明の重要性: 患者が覚醒し始めたら、まず手術が無事に終わったこと、現在ICUにいること、挿管下で声が出ない理由などを丁寧に説明します。これは、患者の不安を和らげ、現在の状況を理解してもらうために不可欠です。
  • 安定しない状態への対応: 患者が循環や呼吸状態が不安定な時期に覚醒したり、血圧の異常上昇や頻脈が見られる場合には、再びセデーションを施し、人工呼吸管理を続行することがあります。

覚醒時の管理

  • セデーションの調整: 患者の状態に応じて、セデーションのレベルを調整し、不快感を最小限に抑えつつ、安定を図ります。
  • 継続的なモニタリング: 患者の心理的、生理的状態の両方を継続的にモニタリングし、必要に応じて迅速に対応します。
  • コミュニケーションの確保: 挿管下でのコミュニケーション方法を工夫し、患者が必要な情報を理解し、不安を表現できるよう支援します。

麻酔からの覚醒期における患者ケアは、技術的な管理だけでなく、患者とのコミュニケーションが重要です。看護師は患者の不安や疑問に対応し、安心感を提供することで、患者の回復をサポートします。患者中心のアプローチを通じて、患者の体験を改善し、回復過程を促進することが目指されます。

神経管理

神経管理は、心臓血管外科手術後の患者ケアにおける重要な要素です。術後の早期段階での意識レベルと神経機能の評価は、潜在的な合併症の早期発見と対応に不可欠です。以下に、覚醒と神経所見の評価、および鎮痛・鎮静管理に関する主要なポイントをまとめます。

覚醒と神経所見の評価

  • 早期意識確認と抜管の目指す: 血行動態が安定し、出血が許容範囲内で、低体温がない場合は、早期に意識確認と抜管を目指します。この段階では、ルーチンの鎮静や鎮痛は通常行いません。
  • 覚醒が遅延する場合の対応: 術後数時間が経過しても覚醒の徴候が見られない場合は、単に麻酔の影響だと楽観視せず、神経診察を実施します。重大な神経系合併症が起こっていないか、瞳孔の反応や神経反射などを確認し、必要に応じて原因検査を行います。
  • 麻酔薬の残存確認: 麻酔チャートを確認し、麻酔科医と情報を共有して、どの麻酔薬がどの程度残存している可能性があるかを確認します。低体温の場合は、薬剤の代謝が遅れ、効果が長引く可能性があることに注意が必要です。

覚醒後の鎮痛・鎮静管理

  • 疼痛管理: 意識レベルが確認でき、疼痛を訴える場合はフェンタニルを持続投与するなど、疼痛管理を行います。IV-PCA(患者自身がコントロールする静脈内鎮痛)が利用可能な場合は、それを用いて対応します。
  • 鎮静剤の投与: 抜管が術後数時間以内に可能で、鎮痛管理のみで対応できる場合は鎮静剤の追加投与は行いません。翌朝以降の抜管が必要な場合、または意識レベルが確認できている場合には、デクスメデトミジンを使用して夜間の鎮静を行うことがあります
  • 意思疎通の促進: 人工呼吸器管理下でも、患者が覚醒していれば、頷きや握手を通じて意思疎通が可能です。呼吸不快感や創部痛の有無を確認するために、yes/noで答えられるclosed questionを積極的に使用します。

術後の神経管理は、患者の安全確保と回復促進において、非常に重要です。神経機能の正確な評価、適切な鎮痛・鎮静管理、そして効果的なコミュニケーションを通じて、患者の快適性と安全性を最大限に保護することが求められます。

まとめ

いかがでしたか?

呼吸器管理は術直後ICUでも重要なアセスメントポイントです。中枢神経の合併症がないことも確認しつつ、鎮静や鎮痛もコントロールしながら早期呼吸器離脱に向けて呼吸器をweaningしていく。多角的な視点が必要であることを学びました。

NPは特定行為研修も修了している方がほとんどだと思うので術後の呼吸器管理などはぜひ身につけておきたい知識と技術と考えます🧐

ご意見などありましたらいつでもコメント・アドバイスください。

次回も術直後の管理について考えていこうと思っています‼️

ではまた👋

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