こんにちは!r−youngです😀
今日からは術直後(ICU入室〜6時間)の管理についてまとめていきたいと思います📖
実際の術後管理は患者の状態によって変わりますし、各施設基準や主治医の治療方針によってさまざまなアプローチがあるかと思います。
ここで記載するのはあくまでも個人的な見解であり、絶対正解というわけではありません。内容に関してご意見やアドバイスがあればいつでも連絡ください!みんなで勉強していきましょう✏️
まずは循環管理から!
入室から6時間後までの循環管理におけるポイントを詳細に解説すると、循環状態の正確な把握と適切な管理が非常に重要です。心臓血管外科の術後患者は、一時的に循環動態が不安定になることが多く、看護師は綿密な観察と迅速な対応が求められます。以下に、主要なポイントをまとめました。
それでは、行ってみよう!🏃💨
ポイント
ベッドサイドでの患者観察
- 聴診、触診、視診: 患者の手足を触って血流の状態を確認し、頚静脈の張りを視覚的に評価します。また、心音や呼吸音の聴診を行い、心雑音・副雑音の有無をチェックします。
- モニタリング: 動脈ライン(Aライン)、中心静脈圧(CVP)の波形と値を監視し、心拍出量(CO)、心指数(CI)、中心静脈飽和度(CVV)などのパラメータを参考にします。これらの値は循環状態を理解するための重要な指標です。
パラメータの経時的変化の監視
- 各パラメータの絶対値だけでなく、時間経過に伴う変化や治療介入による影響も密に観察します。これにより、治療の効果を評価し、必要に応じて追加の介入を行うことができます。
血管内ボリュームの把握
- 術後患者は、低体温による末梢血管の収縮や間質への水分移動により、体全体ではvolume overですが、血管内は低容量(hypovolemia)状態であることが多いです。この状態を正確に把握し、適切な容量補充(輸血や輸液)を行うことが重要です!
容量負荷と血管拡張薬の併用
- 心機能が保たれている場合、電気毛布による保温、輸血や輸液による容量負荷、そして血管拡張剤の併用により、心機能と末梢循環は安定し、代謝性アシドーシスも改善されます。
これらの管理ポイントは、術後患者の循環状態を安定させるために不可欠です。NPは、これらのポイントの留意して、継続的な観察と適切な介入を行うことで、患者の回復をサポートします。効果的な循環管理は、術後の合併症を最小限に抑え、患者の全体的なアウトカムを改善するために重要です。
血圧管理
術後の血圧管理は、心臓血管外科において重要な役割を果たします。適切な血圧の維持は、出血リスクの軽減、吻合部の保護、および心臓の負担軽減に寄与します。術後患者における厳密な血圧管理に関するポイントを以下にまとめてみました!
血圧管理の重要性
- 術後出血の防止: 術後の患者は出血リスクが高いため、収縮期血圧を適切な範囲内に保つことで、出血の可能性を低減します。
- 吻合部への負荷軽減: 高血圧は吻合部に過度のストレスを与え、合併症を引き起こす可能性があるため、血圧を適切に管理することが重要です。
血圧目標の設定
- 血圧目標は、患者個々の状況に応じて柔軟に設定されます。これには、術前の血圧水準、手術中の特定の手技、出血の程度などが考慮されます。
- 目標血圧は、術者との密接なコミュニケーションを通じて定められ、患者の安全を最優先する形で調整されます。
特定患者群における注意点
- 高齢者: 高齢者は血圧管理において特に慎重なアプローチが必要です。彼らは薬剤に対する感受性が高い場合があり、低血圧への過剰な反応を避けるために注意が必要です。
- 無輸血手術を受けた患者: 無輸血手術の患者は、特に血圧管理において慎重な監視が求められます。適切な血圧レベルの維持が、血液製剤の使用を回避し、回復を促進します。
- 低心機能の患者: 低心機能を有する患者は、心臓への負担を最小限に抑えるために、血圧管理が非常に重要です。カテコラミンの使用や投与量の調節は慎重に行われ、心臓の状態を継続的にモニタリングする必要があります。
- 長時間心停止の患者: これらの患者は、循環動態の回復が難しい可能性があり、血圧管理においては特に細心の注意が必要です。
術後の血圧管理は、患者の安定した回復に不可欠であり、NPは血圧目標の達成に向けて、継続的な観察、(特定行為を活用した)適切な薬剤の投与、そして必要に応じて迅速な介入を行うことが求められます。患者の状況に応じた個別化されたケア計画の下で、効果的な血圧管理を実施することが、術後の合併症を最小限に抑え、患者の安全と快適性を確保する鍵となります!
輸液
維持輸液は、心臓血管外科手術後の患者において、体液分布バランスと電解質バランスを適切に維持するために重要な役割を果たします。ここでは、維持輸液の管理に関する主要なポイントと注意点を解説します。
維持輸液の開始
- 輸液の種類: 維持輸液は、適切な血管内volumeを維持する目的で投与されます。通常、細胞外液組成に近い輸液が使用されます。
- 開始速度: 私の施設では輸液は100~200ml/時間の速度で開始されることが多いです。この速度は患者の状態や血液化学的パラメータに基づいて調整されるべきです。尿量が多いケースでは1時間あたりのバランスがマイナスにならないようにそれ以上の投与速度を設定する場合もあります。
輸液量の調整
- 尿量とドレーン排液量の監視: 尿量やドレーンからの排液量は、体液の損失を反映します。これらの量を定期的に監視し、輸液速度の調整に役立てます。
- 乳酸値の監視: 乳酸値は、体の代謝状態と酸素供給のバランスを示す指標です。乳酸値の上昇は、十分な輸液が行われていない、または循環不全の兆候である可能性があります。
- モニタリング所見とエコー所見: 血圧、心拍数、中心静脈圧(CVP)などのモニタリング所見、さらに心エコー所見を利用して、輸液量の増減やボーラス投与の必要性を判断します。
注意点
- 手術中のバランスと輸液量: 手術中に失われた体液量や輸液量(術中IN-OUTバランス)は、必ずしも術直後の維持輸液量を決定する際の直接的な根拠とはなりません。術直後の患者の状態は、常に流動的かつダイナミックに変化するため、維持輸液は術後の臨床所見に基づいて柔軟に調整される必要があります。
維持輸液の目的は、術後の患者が循環不全を起こすことなく、体液と電解質バランスを維持することです。適切な輸液管理は、患者の回復を支援し、術後の合併症リスクを低減します。NPは、継続的な観察とアセスメントを通じて、各患者に合った適切な輸液計画を実施する必要があります。
まとめ
いかがでしたか?心臓血管外科の術直後は患者の全身状態が流動的(まさに1分1秒単位で!)、かつダイナミックに変化していきます。
そんな中で術直後の全身状態の安定化を図るために、循環管理は超絶!大切な患者管理の中核を担うアセスメントポイントです!
皆さんも是非!一緒に循環管理のスキルアップしていきましょう👍
次回は術直後の「呼吸管理編」やっていきます🫁
ではまた!
コメント